札幌市内福祉施設職員国内派遣研修報告(平成26年度)
先駆的な活動を学ぶ
本会では、札幌市内の民間社会福祉施設に勤務する中堅職員の資質向上を目的とした国内での研修について、共同募金会配分金等を活用し、費用の一部を助成しています。
平成26年度は、2名の社会福祉施設職員が、先進的活動の視察・見学に参加しました。その研修報告をご紹介します。
地域との交流を大切にした実践活動に学ぶ
社会福祉法人札親会 さつきたそう ゆめくるサービス管理責任者 笹原 秀仁
私はこのたび、7月7日から7月9日にかけて横浜市にある「セルプ杜」と「訪問の家 朋」の見学及びボランティア体験をさせて頂きました。
「セルプ杜」は高齢者、児童、知的障がい者を支える事業を展開しており、その中の知的障がい者部門を訪問いたしました。本体施設は大変特徴的であり、高齢者部門と地域開放室(貸しスペース)、知的障がい者部門が入居していますが、すべての人が交流を持てるようにとの願いから玄関は一つでした。障がい者部門の事業内容としては、生活介護、就労移行支援、就労継続支援B型で、100名を超す方々がそれぞれの得意な分野で活躍していました。特に食べ物を作る技術は大変すばらしく、地域の学校へ豆腐や納豆、パンを納品し、さらには企業向けに弁当の販売も行われていました。
「訪問の家 朋」では見学とボランティア体験をさせて頂きました。こちらは重症心身障がい者の方々が通所されている生活介護事業所です。医療的なケアを日常的に要するため、手厚い支援体制の下、通所される方々の楽しみや生きがいを目的に活動されていました。当日は近くの方から頂いた梅を使い、ジャムを作るとの事でお手伝いさせて頂きました。中々、意思を示すことが難しい方々へ、朋の職員さんは優しく丁寧な口調で、ほんの小さな瞬きや表情の変化を読み取りながら活動されています。朋についても、地域の方がボランティアとしてほぼ毎日活動のお手伝いに参加しているなど、大変開放的な雰囲気の中、ゆったりとした楽しみある時間を利用者に過ごしていただいている様子が印象的でした。
今回、二つの施設を見学させていただきましたが、それぞれ特色は全く異なっています。しかしながら、どちらの施設も地域の方々との交流を大切に、誰もが楽しく過ごせる場所を目指すといった共通項を発見できました。横浜市と札幌市では、地域性等の違いはありますが、今回の研修で得た刺激を今後の実践に活かしたいと考えております。今回は研修の機会を頂き、深く感謝申し上げます。
循環型施設を目指す救護施設の取り組みに学ぶ
社会福祉法人 札幌厚生会 白石福祉園生活指導係長 向後 圭介
この度、札幌市社会福祉協議会から国内派遣研修の機会をいただき、施設が抱える問題でもある、「他種別施設への移行・地域移行・入所基準」について、どのように取り組んでいるか知ることを目的として、熊本県内の救護施設2か所を6月18日~20日にかけて、視察いたしました。
救護施設が循環型セーフティーネット施設として機能するため、継続的満床・滞留化・重介護化を防止し、最適な次の居場所を確保する事が必要であることから、利用者の地域移行・他種別施設の移行推進を進めて行かなければなりません。しかし、救護施設が介護保険除外施設となっているため、他種別施設への移行が困難であり、施設によっては滞留化・重介護化が進む一方であることも現状です。
まず、救護施設が循環型施設として機能していくためには、福祉事務所や医療機関などに救護施設の役割を理解していただくことが重要であると考え、循環型施設へと変わるまでにどのような取り組をしてきたのか説明していただき、今後取り組むべき課題として参考になる意見を伺いました。
地域移行後のサポート体制については、独自の通所事業を実施し地域に出た後の健康状態や相談等もフォローしていることで、各関係機関や家族からの理解を得られ積極的な地域移行を進められていると感じました。
施設を利用する基準としては、介護保険施設への入所が考えられる利用者は滞留化につながってしまう恐れがあるため入所を断るケースもあり、循環型施設として定着しつつあることで介護が必要なケースは少なくなっているとの事でした。
また入所に至るケースでは、循環型施設であることを理解していただき、65歳の時点で養護老人ホームなど、利用者に合わせた移行を進めていることが循環型施設として機能していると感じました。
今回の研修を通じ、地域柄利用者の状況に違いがあることも問題の一つではあるが、福祉事務所や医療機関との関わりが一番の課題であることが再確認できたと感じました。
今後、この研修で学んだことを参考に循環型施設として機能していけるよう実践に活かしていきたいと思います。